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韓国縦断旅2002年9月
1日目(9月20日)夕方

釜山のチャガルチ市場には通路の両脇に幅2、3mの露天商が続く。魚介類のみ。たこ、いか、すずき、えい、その他もろもろ。たちうおはその長さからして通路にはみ出ている。調理するすべのない旅行者はただ眺めるしかない。市場から陸よりには繁華街が延びている。そしてその歩道には屋台群。ムール貝、おでん、のり巻き、ジョン(韓国風お好み焼き)、お焼き、正体不明のものを釜山っ子たちが食べている。新宿や渋谷では考えられない風景。ちょっとお腹がすいたらペロリという習慣なのかも。道は食べるところ?と化しますます人々で膨れあがっている。

 

チャガルチ市場内のレストランで食事。お刺身目当てに釜山ガイドのチョさんに案内されたところは店の中央に大きないけすがあって魚が泳いでいる。韓国入国して初めての食事に期待も高まる。ビール、続いて韓国焼酎で乾杯。韓国人にとって焼酎は国民的なお酒。甲類が主で、癖がなく、韓国料理に合う。 料理のメインは大皿いっぱいの平目の刺身。日本では平目は高級魚だが、ここでは庶民魚。サンチュ、エゴマの葉(ひと回り大きめの大葉)に、薬味(青唐辛子1本そのまま・にんにく1片)、コチジャン塗って刺身をのせ巻いて食べる。

 

かさごのから揚げ、キムチ、ツブ貝のようなもの、わかめを炒めたもの、ゆで筍…。韓国の食卓は副菜(ミッパンチャン)の数が豊富。あれこれ食べる楽しみ。ごはん、スープでしめる。スープは豆腐入り辛い魚スープ。日本人の味噌汁のようにスープは韓国人にとってなくてはならないもの。ご飯を入れながら食べると心身温まる。いわゆるネコメシ。韓国ではお行儀の悪いことではないらしい。チョさんは33才の独身男性。韓国人と初めて食事を共にし、質問攻めにしながらも会話が楽しく、食欲も杯も進む。

2日目(9月21日)

朝食は各自。釜山駅まで散歩がてらロッテリアで朝食をとる人、宿泊ホテルの朝食をとる人それぞれ。私の朝食はホテルのブッフェ。洋食、日本食、韓国食が並んでいて目移りする。

 

海雲台ビーチを散歩し、今日のランチのカルビ店へ。海のそばの丘に建つその店からは遠く対馬も眺められる。いよいよ本場カルビをがっつく。海雲台はいまや韓国有数のおいしい牛肉の産地。センカルビ(味付けなし)、ヤンニョムカルビ(味付)それそれが骨の長さ10センチを芯にして肉が巻かれて運ばれ、ロースターの上に観音開きにして焼かれる。これを店員がはさみでチョキチョキ切って出来上がり。ビーチで暑い日差しを受けたみんなは喉が渇いていたようでビールと焼酎で乾杯。そして大きな窓からのすばらしい景色。キムチ、水キムチ、唐辛子ベースのドレッシングで和えたサラダ、チャプチェ(春雨料理)と副菜が並ぶ。至福の時。韓国のお茶は恐ろしく甘い。ニッキ茶だったり棗茶だったりするのだが糖分たっぷりのジュースのよう。

 

釜山市立博物館と、UNが管理する世界で唯一つの墓地を見学。UN墓地は現在国連記念公園と呼ばれ、約45,000坪の敷地は韓国ではなく国連の所有地として管理されている。朝鮮戦争で亡くなった11,000名にも上る兵士がここに眠っていたそうだが、1954年以降それぞれの祖国に帰って行き、現在は21ヶ国、2,300墓が安置されている。トルコ兵の墓が最も数多く残っている。

 

西生浦倭城釜山に接する工業都市、蔚山市の郊外へ。西生浦倭城を見学する。新羅の都、慶州に到着。世界遺産仏国寺を見学。門をくぐって現世から仏世界へと入る構図が示されている。新羅を代表する古刹。

 

仏国寺夕食は高級感あふれる慶州の現代ホテル内レストランへ。ここでの狙いは法酒という地酒と、韓国松茸。塩をごま油に溶かしたたれで焼き松茸を食べる。素焼きされた松茸は旨みが中に閉じこめられ、ごま油とよく合う。海鮮鍋、カボチャ粥、プルコギ(すき焼風焼肉)、キムチ、韓菓子。カボチャ粥というのは韓国では日常食らしい。風邪を引いた時にというよりいつでも食されるものだとか。お酒を飲む前にちょっと食べておく、というのがいいらしい。見た目、カボチャスープ。しかし粥と名がつくからに、ご飯をミキサーにかけたものが入っている。それがスープにどろっとした粘性をもたらす。

3日目(9月22日)

朝食各自。旅館傍の定食屋にかけこむ。偶然居合わせたバスの運転手のアジョシにテンジャンチゲ(味噌チゲ)定食を勧められる。運ばれてくると並ぶ並ぶ副菜のお皿。卵豆腐、各種キムチ。スープのだしは牛肉、牛骨だろう。おいしい

国立慶州博物館、古墳群へ向かう。この辺りは、膽星台と呼ばれる現存する東アジア最古の天文台や、新羅の王宮跡、新羅王の"金"氏の始祖伝説のある林など、見所が多い。

 

昼食は韓定食。副菜多い韓国料理だが、更にいろんな料理が並ぶ。各種ナムル、キムチ、プルコギ、蟹、チヂミ、チャプチェ、鮑粥。昨夜からはまっている法酒で乾杯。百歳酒というのは朝鮮人参入りお酒。 大田市へ。

 

夜食。儒城温泉ホテルに宿泊のため韓国初大浴場入湯後ホテルロビーに集合してお目当てのレストランに駆け込むもタイムアウト。韓国のお盆とやらで営業中のお店も少ない。この儒城温泉というところ、日系の企業が工場進出しているとかで日式レストラン(和食がメニューにある)もちらちらある。すぐそばの日式レストランへ。連日韓国料理を食べ続けた日本人たちの胃は久々の和食に"ほっ"。お刺身、のり巻き、天ぷら、うどん…おいしかった。ここの刺身も白身中心。鮪が食べたいよ、というのは贅沢?海外にありがちなぼったくりの店。

4日目(9月23日)

朝食はホテル前のコンビニでパンとコーヒー。おにぎりも売っているのだがハングル文字は解読不可のため具がわからず。若い店員に聞いてもわからない。 百済の都だった扶余の町へ。慶州とは一転し、目に見える遺産が少ない。そのため"想像力で感じる古都"とも言われる。公州から538年に遷都してから、660年に新羅・唐連合軍により滅ぼされるまで栄華を極めたこの地を、百済王族は簡単に捨てた。彼らは方々に散って、永らく荒廃の地となったために、遺産が少ないと説明されている。しかしながら定林寺の址には、韓国の石塔の祖といわれる5重塔が7世紀からそのままの姿を保っており、扶蘇山城では、古の優雅な生活ぶりを伺い知ることのできる建造物が広大な敷地に点々と配置されている。また、先史時代の竪穴式住居址なども遺されている。

 

昼食。扶余の評判の食堂で、昼食の定番、冷麺、ビビン冷麺、ビビンバ、カルクックス(うどん)、各種キムチ。日本人は麺好き。すっかり日本でも定着した冷麺だけど、あのスープは水キムチの汁だとか。漬け物は発酵食品で乳酸菌が豊富。その汁には旨味、栄養たっぷり。水代わりに食中その水キムチの汁を韓国人は飲むそうだ。そしてビビンとは混ぜるという意味。ビビン冷麺、ビビンバはコチジャンを適宜入れてよく混ぜるのだ。辛いものにはお酒が合う。韓国料理といえば唐辛子。実はこの唐辛子、豊臣秀吉の時代に日本から渡っていったものだとか。輸出された先でこれほど定着してしまうとは驚き。韓国人の口に合ったとしか言いようがない。韓国と日本の気温差?いや北海道の唐辛子料理は未だ聞いたことがない。

 

ソウルに到着して 劇場の「コリアハウス」は外国人に韓国伝統家屋と生活様式を紹介するための施設。

 

ソウルのガイド、チョンさんの案内で夕食は韓国式居酒屋へ。鶏肉じゃがいも煮(甘辛い)、蛸イカ甘辛だれそうめん(まるでスパゲッティナポリタンのようだが現在流行中)、ジョン、卵スープ。

 

明日には旅の最終日。韓国料理も名残惜しい。韓国料理とイタリア料理は似ている。にんにく、唐辛子が必須。韓国のごま油にイタリアのオリーブ油。赤色のソース。韓国はコチジャン、イタリアはトマトソース。どちらも食べ物の色が豊富で、おいしくってヘルシー。 それもそのはず、韓国の食の基本は陰陽五行にあるとか。五味五色。甘、辛、酸、苦、塩辛いの五味と青、赤、黄、白、黒の五色の食物をバランスよく摂取することで健康を保つという、古代中国の陰陽五行説に基づいた思想があるのだ。

5日目(9月24日)

朝食各自。屋台のホットサンドイッチとスターバックスのコーヒー。

 

景福宮、江華島観光。昼食各自。早発組は既に空港に向かっている。新村のスーパー、デパートを駆けずり回りながら、デパ地下で日本のお好み焼きをテイクアウト。にんじん、ピーマンが入っている。お寿司についてくるガリが添えられている。これがこの旅行の食事の食べ納め?いやいや現地仕入れのキムチ+アサリの塩辛(チョッカル)、韓国のり、コチジャンは帰ってからも楽しめる。5日間充実の食事であった。韓国料理は焼肉だけにあらず。何度でも食べに行きたい韓国。ちなみに韓国の物価は安い。特に食事が安い。韓国に行きたくなりましたか?

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