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「ディア・ドクター」 2009 監督:西川美和

全くストーリーを知らずに観たからよかったかも。途中、あれっ…、ひょっとして。結局、田舎って怖い。僻地医療の問題というよりも、そっち。宮城の被災地でも偽医者がいたようだが、3年半も医者になりすませたとは。もちろん、製薬会社の香川照之や看護師の余貴美子は気付いている。八千草薫の末期癌、本人の希望通り、娘たちに苦労させたくないということばを尊重し、さらに本人にも告知せず。「今度来るのは1年後です。」という娘のことばに、これ以上嘘は突き通せなくなり、脱走。結局は、娘の世話になる、と決断する八千草。えっ?最後のシーン、彼女の、いったん歪んでから笑うのは見もの。

「Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン」 2005 監督・出演:ヤン・ヨンヒ

日本で生まれ育ったコリアン2世ヤン・ヨンヒが、朝鮮総連の幹部として自らの一生を"祖国"に捧げる父親の姿を10年間に渡って記録し続けたドキュメンタリー。ヤン・ヨンヒの3人の兄は30数年前に朝鮮に。人一倍家族思いの両親が、なぜ息子たちを"祖国"に送ったのか。監督は、優しい父とその政治的信念に違和感を抱きながらも、それを理解しようと父にカメラを向ける。映画は、そんな父と娘の対話を軸に、近くて遠い二つの国に生きる家族の真実の姿を描く。親孝行な監督です。父の出身は済州島であり、思想で北を選んだということなのでしょうか。ヨンヒに結婚を望む父は相手は朝鮮国籍の人と譲らず。国籍を変えたがるヨンヒに抵抗を見せる。

「かぞくのくに」鑑賞時監督生スピーチはこちら>>

「帝一の國」 2017年 製作国:日本 原作:古屋兎丸 監督:永井聡 出演:菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大、永野芽郁

日本一の超名門・海帝高校に、後は総理大臣になる大きな野心を持つ赤場帝一が首席入学を果たす。彼は2年後の生徒会長選挙で優位に立つため、誰よりも早く動き始める。2018年前期の朝ドラ「半分青い」の出演者が多い。太鼓をたたくための半ケツがサービスだとか・・・。

「ディヴァイド」  2011年 アメリ THE DIVIDE 監督:ザヴィエ・ジャン

原因不明の爆撃に遭遇し壊滅状態のニューヨーク。個人所有の地下シェルターには9人の男女が逃げ込みます。まずここで最初のdivide。苛立つ人々。助かるのか。助けがやってきた?防護服に身を包み武装した人々がシェルターの扉をこじ開け、中へ。 が、攻撃。戦う。意外に弱くて、やっつけてしまう。防護服でもって一人が外の様子を探りに行くが、チューブが続く。そして地下の生活。残酷なリンチ。どう終わる??ヒロイン、扉を閉めて、閉めて、divide。地上へ。助かるために向かった地上は完全に壊滅したNY。

「ディヴォース・ショウ」 2003 男と女の騙しあい。キャサリン・ゼタ・ジョーンズは実生活でもマイケル・ダグラスと離婚した場合の慰謝料が相当なものなだけに怖い。原題も怖い。

「ティエリー・トグルドーの憂鬱」 2015年 製作国:フランス 原題:LA LOI DU MARCHE/THE MEASURE OF A MAN 製作総指揮: エヴ・フランソワ・マシュエル 出演:ヴァンサン・ランドン、カリーヌ・ドゥ・ミルベック

1年半も失業中の中年男、ティエリー・トグルドーは、やっとのことでスーパーの監視員の仕事を手に入れる。しかし、「誰でも疑ってかかれ」という監視の仕事は、精神的な負担が余りに大きい。タイトル通り、スーパーの仕事は憂鬱そのもの。財政相談に行けば持ち家を売るよう勧められ、トレーラーハウスを売ろうとすれば値引き交渉すさまじく、障害を持った子供はまだ小さく、八方ふさがり。こんな憂鬱な映画を作るのは社会派だから?誰も観たがらないと思うけれど。

「テイク・ディス・ワルツ」 2011 カナダ Take This Waltz 監督:サラ・ポーリー 主演:ミシェル・ウィリアムズ

ライターのマーゴとチキン料理本を執筆するルーは結婚5年目の夫婦。マーゴは旅先で出会った青年ダニエルに惹かれはじめ、いけない、いけない、と思っても…。マーゴもダニエルも子供のやんちゃぶりをもっている。ルーもふざけもするのですが、ふざけ具合が並みの常識人。そういうわけでマーゴがダニエルに惹かれるのは無理もないのです。「30年後の○月○日xx時に灯台で会いましょう。その時ならキスの一つぐらいルーも許してくれるわ。」でも、それまで待てないです。マーゴの服がかわいい。仕草がかわいい。ミシェル・ウィリアムズのために作られた映画。監督は彼女を大好きに違いない。

「THIS IS IT」 2009

変人、奇人、化け物扱いされた。この映画に写っているマイケルは実に穏やかだ。才能に溢れて、踊る姿はすべて様になる。亡くなる直前のリハーサルの映像。ダンサー、ミュージシャンがそこにいることに感動している。つい観客になって聞き惚れ、見とれてしまう。誰もが待ち望んだステージであったが、 本番を見せることなく彼は去って行った。彼の命を奪ったものがいるのなら悔しいばかり。

 

ディス/コネクト 2012年 製作国: アメリカ 原題: DISCONNECT 監督: ヘンリー=アレックス・ルビン 出演:ジェイソン・ベイトマン、ホープ・デイヴィス、ポーラ・パットン

同級生のイタズラとは知らずに、SNSで知り合った女性相手に自分のはずかしい画像を送り、その画像をネット上にばらまかれてしまった内気な少年ベン。彼はショックのあまり自殺未遂をして意識不明に。その父親で仕事中毒の弁護士リッチは、自殺の原因を突き止めるべく調査に乗り出します。病院に見舞いに来る同級生、実は加害者。いたたまれずの行動だが、やがてリッチは突き止めます。そして加害少年の父親はその事実を知り、息子のSNSの仕業を削除します。それを見ている息子。父親として正義を語っていたのに。SNSの問題点を警告しています。

「DISTANCE ディスタンス」  2001年 製作国 日本 監督:是枝裕和 出演:ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信 132分

3年前にカルト教団が起こした殺人事件の加害者遺族である4人の男女は、1年に1度再会し、遺灰が沈む湖で手を合わせることにしていた。その年、湖から帰ろうとする4人の車がなくなり、同じくバイクをなくした元信者の青年とともに、かつて信者たちが暮らしていたロッジで一夜を過ごすことになる。

WOWOWで是枝裕和監督特集をやっていて録画。途中で脱落、また見はじめる、を繰り返し。オウム真理教のことがモチーフになっていて、遺族となった加害者家族を集結させて大切だった人を偲ぶ。聞き取れないところが多く、続けて見ていないので、この人の家族は誰だったのかと思い出すのに苦労。

「ディストラクション・ベイビーズ」 2016年 製作国:日本  監督:真利子哲也 出演:柳楽優弥

野犬状態の男。なんでそんなになってしまったのかってやはり家庭環境?でも弟は優しく育っている。柳楽優弥、菅田将暉の狂気ぶりは見もの。

「ディーパンの闘い」  2015年 製作国:フランス 原題:DHEEPAN 監督:ジャック・オディアール 出演:アントニーターサン・ジェスターサン、アスワリ・スリニバサン 

内戦中のスリランカを離れようとしていた元兵士・ディーパンは、赤の他人の女と少女と共に"家族"を装いフランスに入国し、アパートの管理人として暮らし始める。麻薬の売人たちのたむろするアパート、突然の銃撃戦に、おとなしくしていたディーパンの血が家族を守ろうと再び戦いはじめる。その後の、ほっとした表情への変化に惹き込まれる。擬似家族からほんものに。フランスの映画だけれど、ディーパン家族の幸せをつかんだ場所はイギリスだったんだなあ。そしてフランス人男性においしいと言われたスリランカ料理にも注目した。

「ティファニーで朝食を」 1961 アメリカ Breakfast at Tiffany's 原作:Truman Capote

オードリー・ヘップバーンの代表作。何しろかわいい、そして洗練された衣装を見事に着こなしています。が、あらあら彼女ときたらあばずれで玉の輿狙いなのです。彼女に恋するのはパトロはンのいる作家。オードリーが演じると、清楚なコールガール。ヘンリー・マンシーニのムーン・リバーは彼女のために1オクターブだけで歌える歌を作曲したとか。

 

 

「デイブレイカー」 2008

ヴァンパイアが人間に代わって世界を支配する近未来謎の疫病が世界中に蔓延し、人類の大半はヴァンパイアへと変貌していた。ターミネーターと吸血鬼がいっしょになったような映画。ヴァンパイアから人間への戻り方が原始的というか…。

「ディナー・ラッシュ」 2001
ニューヨーク、イタリアレストランでのマフィア抗争。でも料理が主役?批評家受け狙いの息子の料理で人気店にのしあがった「ジジーナ」、経営者の父親は昔の料理を懐かしみ、仲間、従業員を大事にするけれどそろそろ引退?副シェフは賭け事好きで…。厨房では次々と料理が手際よく作られていく。
「ディナーウィズフレンズ」 2001
家族のようにしてきた二組の夫婦。が、一組が離婚へ。どんな危機があっても乗り越えるのが夫婦とする男性、再婚で本当の幸せをつかんだという男性、新しい恋人にぞっこんの女性、その彼女を見ていらつく女性。どれが正しい、間違っているということではないのでしょう。おいしそうなイタリアン料理が添え物にでてきます。

「ディファイアンス」 監督:エドワード・ズウィック 主演:ダニエル・クレイグ

1941年、ドイツ軍に侵攻され、ナチス親衛隊と地元警察によってユダヤ人狩りが始まったベラルーシで両親を殺されたトゥヴィアらビエルスキ3兄弟は森の中へ逃げ込み、生きる手立てを模索。彼らの周りにはやがて、逃げ惑っていた同胞のユダヤ人が次々に合流する。森の中でたったひとつの集団が生き抜くという奇跡、真実に驚きます。

「ディープ・エンド・オブ・オーシャン」 1999
どんなストーリーかも知らず見始める。何何?お母さんが3人の子ども、それもひとりは1才以下の乳児を連れて高校の同窓会へ。どんな展開?かわいい3才児が消えます。捜査を続けるも見つからず、母はおかしくなります。じっと耐える父、長男。9年後、偶然、誘拐された次男が現れます。犯人は既に自殺しており。9年の月日は埋めがたく、今度は母親が家族のバランスを取っていきます。ずっと責任を感じていた母、長男。何かが起こった時、常に家族の誰かがしっかりしていれば大丈夫。

「敵との初恋」 2011 韓国

実話をベースに制作された映画。朝鮮戦争最中の50年。チョンウン率いる北朝鮮軍が平和な田舎町、石井里(ソクチョンリ)を侵略。区長の娘・ソルヒは翌日、隣村の反共の男性と結婚する予定だった。チョンウンとソルヒはは数年前に出会っており、その時、ソルヒの父親は殺されていた。チョンウンはほのかにソルヒに恋心を抱くが、ソルヒはすっかり忘れていた。北朝鮮軍と村人の生活。村人の貧しさに、裕福な隣村の肉、米を平等に分配。そして防空壕とは名ばかりの穴掘り作業。実は、住民を殺して埋めるためのもの。チョンウンは村人を助け、撤退しようとするのだが、間もなく連合軍が攻めてきて、村では壮絶な戦いが始まるのです。純粋な淡い初恋と戦争物を絡ませたものだけれど、だから何?という映画です。

「テザ 慟哭の大地」 2008 エチオピア  監督:ハイレ・ゲリマ

ドイツに留学し、人種差別を経験し、帰国したアンベルブル。アフリカの独裁政権は内戦のため疲弊し、若者を兵役で負傷、殺傷していく。「テザ」はエチオピアの言語アムハラ語で「朝露」、「幼少期」の意味だそう。美しい朝霧の風景とは真逆の残酷でむごい現実。

「デザート・フラワー」 2009

予告で、アフリカの少女のアメリカンドリーム?ロンドンドリーム?ソマリアンドリーム?と思っていました。モデルとして大成功したワリス。BBCインタビューに答えて、「またソマリア遊牧民の少女がロンドンのハンバーガーショップで名カメラマンに見出されて、なの。人生を変えるきっかけは私の話にしてくれませんか?」しばし、考慮し、了解するBBC記者。しかし、すべての話を聞き終えた記者は涙を止めることができませんでした。そして、国連のスピーチに立つワリスは悪しきアフリカの子どもたちに強いられていた割礼を禁止するよう投げかけます。それをきっかけに廃止活動が進みます。

「デス・ノート」 2006

タイトルが怖くて見ませんでした。というより、若者向けの映画かなと。偶然?デスノートを手に入れたライト。犯罪者たちの名前を書き込んでいく。そしてLとの対決。ライトは犯罪者なのに、どうも応援してしまう。藤原竜也はイケメンなのかそうでないのか。スリム。

「デス・ノート(後編)」 2006

キラの恋人の葬式から始まる。一方、アイドルが第二のデスノートを手に入れ、キラに接近。キラの異常さが中途半端。Lははまり役。死神の声、リューク中村獅童、レムはピーターとか。

「デタッチメント 優しい無関心」  2011 アメリカ Detachment 監督:トニー・ケイ 主演:エイドリアン・ブロディ

現代アメリカ社会の学校問題を教師の立場から。高校の代理教師として赴任したヘンリー、生徒からなめられる教師、教育に無関心あるいは過干渉な親、教員たちのストレスを見ます。売春を行う少女エリカと出会い、一時的に自分んお部屋に居候させます。ヘンリーに愛情をもつエリカ、学校ではいじめられっ子の女の子を励ませば抱きつかれ、優しく突き放せば、自殺してしまいます。救われようのないお仕事。最後はヘンリーが児童施設にエリカに会いにいくところで終わっていますが。エリカはエイズ陽性だったっていうこと?

「鉄くず拾いの物語」 2013 フランス/スロベニア 原題:An Episode in the Life of an Iron Picker 監督:ダニス・タノヴィッチ

貧しくも幸せに暮らすロマの一家。ある日、3人目を身ごもっていた妻が激しい腹痛に襲われ、病院へと運び込まれる。診断の結果、5ヵ月の胎児はすでにお腹の中で死んでおり、大きな病院ですぐに手術しないと母胎の命も危ないと言われる。しかし保険証を持たないため、高額な手術代を払えず、夫婦はにべもなく門前払いされてしまう。 死んじゃうよ。いつもの仕事の鉄くず拾いをするけれどどうするの、無理だよ。ダメ押しでまた行くがにべもなく断られます。保護団体やらに駆け込むもどうしようもなく、結局、義理妹の保険証を借りて…。動かなくなった自分のポンコツ車、解体して得たお金は薬代。生きていくのはたいへん。

「デトロイト」 2017年 製作国:アメリカ 原題:DETROIT 監督:キャスリン・ビグロー 出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター

アメリカ史上最大規模の暴動「デトロイト暴動」の最中に起こった戦慄の一夜を描くサスペンス。とにかく差別主義者の警官のなりきりがすご過ぎる。

「デトロイト・メタル・シティ」 2008
松山ケンイチ主演。熱狂的ファンを観に行きました。みんなはまり役。松山ケンイチ、加藤ローサ、松雪泰子。歌を歌っているところもいいし、田舎で農家の息子姿もおもしろ〜い。ヨハネ・クラウザーII世と根岸くん、どっちもよい。

「TENET テネット」 2020年 アメリカ 原題:TENET 監督:クリストファー・ノーラン 出演:ジョン・デイビッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー

「ダークナイト」「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督が、"時間の逆行"を巡る謎を解き明かし、第三次世界大戦を阻止すべく過酷な任務に挑む男の戦いを圧倒的なスケールで描いたSFスパイ・アクション超大作。ウクライナのオペラハウスで起きたテロ事件で、人質救出作戦に参加し捨て身の活躍をしたその男は、適性を見込まれあるミッションを託される。それは、未来からやって来た敵と戦い、世界を救うというものだった。彼は"TENET(テネット)"と呼ばれる謎の組織の存在を知らされるとともに、ある女性科学者から時間を逆行させ、人や物を過去へと移動させる不思議な装置について説明を受けるのだったが…。

理解するのが難しい、と考えながら観る。主役は名前からしてデンゼル・ワシントンの息子だった。

「デパーテッド」 2006 USA
J.ニコルソン、M.デーモン、ディカプリオ、イケメン勢揃い?映画館封切りの時、話題の作品でした。警察の中にスパイ、マフィアの中にスパイ、誰が?香港映画のリメイク版。スパイであることの苦悩をディカプリオが熱演。いつまでも童顔から抜け切れず、タイタニックイメージを引きずっていると思っていましたが、違う顔を見た気がします。お薦め映画です。

「デビル 孤高の暗殺者」 2011 コロンビア/メキシコ/アメリカ

コロンビア、殺人を犯したゲリラが恩赦で放免され、さらにデビル”と呼ばれた元ゲリラの男が娘と共に拉致される。犯人は、娘の命と引き換えに72時間以内に昔の仲間を抹殺するよう要求し…。

「デリシャス!」 ジャンル:コメディ 製作国:フィリピン 製作年:2008年 94分 監督:ジェイ・アベリョ キャスト:エンジェル・ジェイコブ、クリスチャン・バスケス、ぺケ・ガリャガ

ネグロス島のバコロド市でイタリアン・レストラン「プッチーニ」を経営するジャッコは、膨大な借金のせいで、ドルポとその一味にレストランを差し押さえられてしまう。ドルポ側に雇われた女性コンサルタントのキャシーはレストラン再建を図ってジャッコに様々な要求を課す。投げやりなジャッコはキャシーと衝突するが、徐々に地元の食材の豊かさに気づき、祖母が遺したネグロス料理のレシピから多くのことを学び始める‥。 劇中にも登場するチキン・イナサル(鶏のバーベキュー)を筆頭に、肉や魚介から野菜まで幅広い食材を使ったネグロス料理(あるいはバコロド料理)はマニラ首都圏でも大人気だが、本作は斜陽のレストランを地元の味で立て直そうとする若者たちをコミカルに描いている。 ジェイ・アベリョはフィリピンの人気監督の一人で、近作では『オレンジ・ドレスを着た女』(18)が大阪アジアン映画祭2019で上映されている。2020年に亡くなった巨匠監督ペケ・ガリャガがボスのドルポ役で出演している。 シネマラヤ映画祭2008でプレミア上映された。

「テルアビブ・オン・ファイア」 2018年製作/97分/G/ルクセンブルク・フランス・イスラエル・ベルギー合作 原題:Tel Aviv on Fire 監督:サメフ・ゾアビ 出演:カイス・ナシェフ、ルブナ・アザバル、ヤニブ・ビトン

パレスチナ系イスラエル人のサメフ・ゾアビ監督が、複雑なパレスチナ情勢を皮肉とユーモアに包んで描いたコメディドラマ。1960年代の第3次中東戦争前夜を舞台にした人気メロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」。その制作現場でインターンとして働くパレスチナ人の青年サラムは、撮影所へ通うため毎日イスラエルの検問所を通らなくてはならない。ある日、妻がドラマの大ファンだという検問所の主任アッシから脚本のアイデアをもらったサラムは、制作現場でそのアイデアを認められて脚本家へと出世するが……。

「テルマ&ルイーズ」  1991 アメリカ THELMA & LOUISE

テルマは夫に従属させられている妻。友人のウェイトレス、ルイーズと共にドライブ旅行にでかけますが、出かけることも夫にきちんと説明できないさま。途中のナイトクラブで、テルマは男にデレッとし、レイプされそうになり、ルイーズはテルマの持ってきたピストルで男を射殺。(ルイーズはテキサスでレイプ被害に遭った過去があるようでこの種の犯罪が絶対に許せない。)二人はそのまま逃げます。ルイーズは男友達に連絡し、送金を依頼。逃亡中、ヒッチハイク中の若い男(ブラッド・ピット)を乗せ、またもテルマがデレデレに。そしてルイーズが局留めのお金を受け取りに行くとそこにはその男友達が。そしてプロポーズ。が、もう引き返せない状況。一方、ブラピは逃亡資金を持ち逃げ。テルマはおとなしかった主婦とは思えないこほどに強盗をやらかします。罪を重ねていく二人。テルマがバカすぎるのですが。捕まるよりも自由になることを選ぶのですが、何から自由になりたかったのかというと、男性社会だったのでしょう。それが時代を経てもこの映画が愛される所以。

「テルマエ・ロマエ」 2012

大セット古代ローマ帝国。クビになってしまった浴場設計技師のルシウス(阿部寛)は、友人と訪れた公衆浴場(テルマエ)で湯の流れていく穴に引き込まれ、現代日本の銭湯にタイムスリップ。平たい顔族(日本人)の進んだ風呂文化に愕然。そして古代ローマに戻ったルシウスは、平たい顔族の風呂文化を採り入れた浴場を設計し、大評判に。タイムスリップを繰り返す。ローマ帝国の濃い役者たちには市村正親、北村一輝、宍戸開。平たい顔族には漫画家志望の上戸彩。何しろ、イカ八朗さんの”いい湯だな♪”状態の顔にはいちばん癒されました。上戸彩役は他に誰かいなかったのか。色っぽさのつもりの厚い唇も色気なし。

劇中右上にバイリンガルと出て、その後、ルシウスは日本語を話しだす。「歴史と違ってしまう。」と上戸彩が説くのだが、それって捻じ曲げたような。最後のその後の人物説明、ルシウスはやはり才能がなかったのか晩年行方不明、悪者北村一輝は飛ばされ、疫病で没でしたね。

「テレフォン」 アメリカ 1977

スターリン独裁体制の時代に生まれた計画は、ソビエトの選りすぐりの工作員50人が、催眠術をかけられ、破壊工作の極秘任務を帯びて、アメリカ全土へと送り込むというもの。が、計画は正式に中止されたにもかかわらず、決行されはじめ、時代錯誤的爆破が各地で起こります。たとえば化学兵器が移送された基地の爆破だったり、爆破後古いソ連製の薬で自殺したり。ソビエトは工作員を操る人物を始末しなければならず、完全記憶をもつというチャールズ・ブロンソンが任務にあたります。犯人は、電話口に彼らを呼び出し、あるセリフを言うだけで、彼らは爆破作業に移ります。チャールズ・ブロンソンに協力するのはKGBの美しい女スパイ(レミック)。終わり方がお茶目。任務を全うした2人、女スパイはブロンソンを消すよう指令を受けていましたが、ふたりモーテルに向かいます。

「デュラス・愛の最終章」 2003
M・デュラスの、38才差年下男恋人ヤンとの晩年の話。孤高のデュラスが、徐々に心を許して甘えていく様。ジャンヌ・モロー主演。

「天外門(てんがらもん)」 2020年製作 109分日本 監督:田中光敏 出演:三浦春馬

三浦春馬が主演を務め、近代日本経済の基礎を構築し希代の"天外者(てんがらもん)=すさまじい才能の持ち主"と称された偉人・五代友厚の人生を描いた歴史群像劇。「利休にたずねよ」「海難 1890」の脚本・小松江里子と監督・田中光敏がタッグを組み、オリジナルストーリーで描き出す。江戸末期、ペリー来航に衝撃を受ける日本。新たな時代の到来を察知した青年武士・五代才助(後の友厚)は、攘夷か開国かの内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。そんな中、遊女はるとの出会いから「自由な夢を見たい」との思いに駆られた彼は、誰もが夢見ることのできる国をつくるため、坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文らと志を共にする。五代の盟友・坂本龍馬を三浦翔平、後に三菱財閥を築く岩崎弥太郎を西川貴教、初代内閣総理大臣となる伊藤博文の若かりし頃を森永悠希、遊女はるを森川葵がそれぞれ演じる。

「天空の蜂」  2015年 製作国: 日本 原作:東野圭吾 監督:堤幸彦 出演:江口洋介、仲間由紀恵、綾野剛

最新鋭の超巨大ヘリ"ビッグB"を遠隔操作したテロが発生。犯人の要求は"日本全土の原発の破棄"。ヘリ設計士と原発設計士が、日本消失の危機を止めるべく奔走する。当初はヘリに誤って乗車してしまった息子を助けられるかどうか、その後は敦賀の高速増殖炉もんじゅの上を飛び続けるヘリを真下に落とさないようにどうすべきか。原作は1995年に刊行されているからびっくり。そしてよく映画化されたなあ。江口洋介が演じることで娯楽度が上がり社会性がぐっと下がる。出演作をセーブしている本木雅弘が原発設計士を演じるとは、そしてそのメッセージは非常に重い。

「天国からのエール」 2011

実在の話、タイトルからして読める。沖縄で弁当屋を営む陽は、バンドに夢中な高校生たちのために自宅横の空き地にスタジオを作る。そして陽はガンが再発。目をギョロっとさせる阿部寛、痩せたのだろうが、これがいちばんの見ものだったりして。

「天国からの奇跡」 2016年 製作国:アメリカ 原題:MIRACLES FROM HEAVEN 監督:パトリシア・リゲン 出演:ジェニファー・ガーナー、カイリー・ロジャーズ、マーティン・ヘンダーソン

小さな田舎町で暮らす少女・アナは幼い頃から重い病気を患い、入退院を繰り返していた。そんなある日、アナが庭の大木から落下。彼女は幸い一命を取り留めるが、その身に驚くべき奇跡が訪れる。

「天国と地獄」 1963 監督:黒沢明 三船敏郎、仲代達矢、山崎努

ナショナル・シューズの権藤専務(三船敏郎)は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出し3千万円を用意する。無事子どもは戻るが、犯人は巧みに金を手に入れ、権藤自身は会社を追われる。刑事(仲代達矢)の活躍。身代金を詰めた鞄には燃やすと色を出す化学薬品が仕掛けられ、煙突からピンクの煙が立ち上る。白黒画像なのに、色付きなのは現在(2013年)観るからでしょうか。これって、「踊る大走査線」にもありました。犯人役の山崎努、若くかっこいい!死刑が確定し、権藤を呼びつけ、屈折した感情をぶつける。

「天国の口、終りの楽園。」 2001年 製作国: メキシコ 原題: Y TU MAMA TAMBIEN/AND YOUR MOTHER TOO

幼なじみのフリオとテノッチは17歳の高校生。溢れるエネルギーを持て余し気味の二人が考えることといえばセックスのことばかり。ところが、肝心のガールフレンドたちは旅行に出かけてしまい、せっかくの夏を何をするでもなく過ごしていた。そんなある日、親戚の結婚式で二人は年上の女性ルイサと知り合う。彼女をドライブに誘うためダメもとで"天国の口"という在りもしないビーチの名を口にする二人。ところが、数日後、夫の浮気を知ったルイサはテノッチに一緒にドライブ旅行に行くと告げる。慌てる二人だったが、チャンスとばかりルイサを連れアテのない旅に出る。

「天国の日々」 1978 DAYS OF HEAVEN

1917年、、シカゴの工場でけんかし、列車の旅に出るビリー(R・ギア)と妹ふたり。が、アビーはほんとうの妹ではなく、世渡りのため妹と名乗っている。列車からたくさんの人が降り、1日3ドルの麦刈り人夫の職につく。若き農場主はアビーを好きになり、麦刈り後も彼女に農場に留まるように頼む。彼女は兄と妹もいっしょにいられるならと働くことに。そして結婚。これまで生きるために働いてきたのに、毎日遊んで暮らせる天国の日々と幼いもう一人の妹が言う。農場主は時々見るビリーと妻のいちゃつく姿に疑うように。妻も彼を愛し始め、ビリーは出て行く。がしばらくして戻る。ちょうど、農場にはイナゴの大群が大発生。そして火事。農場主はピストルを持ちビリーに向かっていくのだが、逆にビリーは彼を殺してしまい、逃げるビリーたち。追っ手に捕まり…。それでも女性たちはしっかり生きていきます。農場の景色、夕焼け、麦畑、川で遊ぶ姿、月が美しい。

「天才作家の妻 −40年目の真実−」 2017年 製作国:スウェーデン/アメリカ/イギリス 原題:THE WIFE 監督:ビョルン・ルンゲ 出演:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレイター

現代文学の巨匠・ジョゼフと妻・ジョーンの下に、ノーベル文学賞受賞の吉報が届く。ふたりは息子と共にストックホルムを訪れるが、ジョゼフの経歴に疑惑を持つ記者から夫婦の"秘密"を問われ…。

「天才スピヴェット」 L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet 監督:ジャン=ピエール・ジュネ(『アメリ』) キャスト:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム・カーター、ジュディ・デイビス、カラム・キース・レニー 2013年 フランス/カナダ 105分 

スピヴェットの家族は一年前の彼の双子の弟の死によって心に穴を抱えたまま。父はその弟をいちばんに愛していた。権威ある科学賞の授章のため、アメリカ大陸を横断の家出。貨物列車に乗り込み、母親に禁止されていたホットドッグを買いに行ったり、警官に追いかけられたり、ヒッチハイクしたり。でもまだまだ子ども。最後に両親の愛に包まれます。

「天使の肌」 2002 フランス

宗教を信じるか信じないかの問いがある。主人公の名前がアンジェ=angel。きれいな緑の山の風景の中、少女が鷲?を背負い、肩にエンジェルの翼の如く乗せる。

そして数年後、少女は家事をしている。日曜日、母は教会に。父に「どうして。」と訊かれ、「日曜日だから。」アンジェは行かない。弟に訊かれ、「もし神がいたら、こんな不幸をもたらさない。」そして、アンジェは口減らしのため、遠く家政婦の住み込み仕事へ。そこでグレゴワールとの運命的出会い。しかし、彼にとっては、単なる一夜の慰め。アンジェ「キリスト教は嫌い。でもイエスは好き。」そしてグレゴワールは列車に乗って去る。

彼を慕い、彼の同じ勤務先に務めているというだけで、別の家の家政婦に。そこで殺人事件があり、共犯者に仕立てられてしまう。アンジェは無実をはらすため、弁護士にグレゴワールのことを話すのだが、会社の社長令嬢と結婚した彼にとって、彼女からの連絡は邪魔なだけだった。しかしながら、精神的に追い詰められていく彼は、弁護士に会いに行く。その弁護士とのやり取りが興味深い。グレゴワール「たった1回会っただけ。」弁護士「何回会えば分かり合えるというの。」グレゴワール「彼女に僕のことを忘れてほしい。」弁護士「何を。」グレゴワール「……。」そしてグレゴワールは刑務所に会いに行く。嬉しげに面会所に向かうアンジェ。グレゴワールはどうして自分を追いかけるのか詰問する。そしてアンジェ「あなたがここに来た。」グレゴワール、絶句。そして、彼女に助けを求め、彼は彼女の手を握る。

やがて、アンジェの疑いが晴れ、出所。アンジェは刑務所そばの修道院にお世話になった御礼を言いに行くが、とどまる。巡る季節を喜び、花を育てる。花は愛。見上げる青空。そして、グレゴワールが、ネックレス(以前グレゴワールがアンジェにあげた母の形見)と手紙を手にする画像。

誰よりも神の使いであったアンジェ。すてきな台詞が散りばめられている映画でした。

「天使の分け前」 2012 イギリス/フランス/ベルギー/イタリア The Angels' Share

監督:ケン・ローチ

スコットランドのグラスゴーで青年ロビーは、恋人の妊娠をきっかけに更生しようと思うが、恋人の親族につけ狙われている。裁判所から300時間の社会奉仕活動を命じられ、指導にあたるウイスキー愛好家の中年男ハリーと出会い、ウィスキーに対する優れた嗅覚、味覚があるのに気付く。天使の分け前とは、ウィスキーが樽で熟成中の間に蒸発していく2%分を指して例えられている。でも、結局、泥棒したウィスキーでもって将来を切り開いていくってどうなの…。

「電車男」 
おたく系の電車男(山田孝之)が電車で酔っ払い男からエルメス(=中谷美紀。お礼に送られたペアカップがエルメスのものだった。)を救って、チャレンジャーとなり彼女にアタックしていくのです。そしてチャットで応援してくれるみんなも彼の頑張りが励みとなって殻を突き破っていきます。電車男のよさを理解してくれるような女性がいてくれてよかった。エルメスは口元が皇族に嫁いだ女性のようになっているのだけれど、きれいな日本語を話していました。”みんな”の中には、”ちゅらさん”で姉役をしていた国仲涼子もいます。娘は”ちゅらさん”の時から山田君のファンです。

「デンジャラス・ビューティー」 2001年 製作国:アメリカ 原題:MISS CONGENIALITY 監督: ドナルド・ペトリー 出演:サンドラ・ブロック、ベンジャミン・ブラッド、アーニー・ハドソン、マイケル・ケイン

男勝りで色気ゼロのやり手女性FBI捜査官が、犯罪捜査のために美人コンテストに潜入するハメになり、次第に美女に変身していく。これがあのグレイシー?と観客がほくそえんでしまう。

「デンジャラス・ビューティー 2」 2005年 製作国:アメリカ 原題:MISS CONGENIALITY 2: ARMED & FABULOUS 監督:ジョン・パスキン 出演:サンドラ・ブロック、レジーナ・キング、ウィリアム・シャトナー、アーニー・ハドソン

爆破予告の標的にされたミス・アメリカ・コンテストに潜り込み、みごと事件を解決したFBI捜査官グレイシー。以来すっかり有名になった彼女は、しかしそのために本来の潜入捜査に支障を来すようになり、FBIの顔としてPR活動に従事するよう命じられてしまう。10ヶ月後、美しく変身し、テレビ出演や自伝の出版と忙しく活躍するグレイシー。そんな彼女のもとにある日、親友のミス・アメリカがラスベガスで何者かに誘拐されたとの情報が入る。そこでグレイシーは、彼女に敵意剥き出しの新パートナー、サムを巻き込み、捜査を開始する。髪もメッシュを入れ、最初から美女で登場。サムとうまくコンビを組めるのかどうか。今回は制作費もかなりかかっている。でもその後のシリーズ化はなかったみたい。

「デンジャラス・ラン」 アメリカ 2012 Safe House 監督:、ダニエル・エスピノーサ 主演:デンゼル・ワシントン、ライアン・レイノルズ

CIAの新米一般職員が、正体不明の武装集団に狙われた元CIA凄腕エージェントの最重要危険人物と共に決死の逃亡を繰り広げる。南アフリカにあるCIAの極秘施設Safe House。その管理を任されたマットは、退屈な仕事に転勤依頼を出すが望みもない。ある日、凶悪犯トビン・フロストが連行され、隠れ家が武装集団に襲われ、フロストの身柄を守るために彼と協力して逃走する。逃げる先々を狙われるのは、CAIにリークする人がいるから。そしてCIA自体も彼らを狙いにかかってきて。マットの顔つきが徐々にたくましくなっていきます。

「天井桟敷の人々」 1954 フランス Les Enfants du Paradis

第一部――1840年代のパリ、タンプル大通り。パントマイム役者バティストは、裸に近い踊りで人気のガランスに恋をする。犯罪詩人ラスネールや俳優ルメートルも彼女に夢中。一方、バティストの属する一座の座長の娘ナタリーはバティストを愛していた。ラスネールと悶着のあったガランスもその一座に加わるが、彼女の前には新たな崇拝者モントレー伯が現れる…。第二部――それから5年後、バティストはナタリーと、ガランスは伯爵と結婚していた。しかし、ガランスを忘れられぬバティストはルメートルの手引きで彼女と再会を果たす。

190分の長さです。天井桟敷は安く舞台が観られ、気軽に楽しめるところ、以前はそこで愉快に楽しめたのに今はお忍びで貴賓席でバティストの演技を楽しむしかないガランスは自らを古いオルゴールのようと。奥手のバティストはガランスに言い寄れず、濡れ衣を着せられ捕まりそうになったガランスはモントレー伯爵に頼る。舞台に生きる人たちを絡めての人生模様。パリの街に活気があります。

「天上草原」 中国(内モンゴル) 2002
モンゴル族に養育されることになった漢民族の少年の成長。少年は愛情を受けずに育ち失語症。モンゴル族の男が刑務所出所にあたりまだ刑期の残る服役者から息子を預かってほしいと頼まれる。街で暮らしていた少年がモンゴルの自然の中、優しいモンゴル族男性の(元)妻、弟の愛に包まれ、頑なだった心がほどけていきます。ナレーションは、その少年が大人になった時、昔のできごとを振り返りながら話を語るというスタイル。モンゴルというと日本人は遊牧の民、草原、羊、パオをイメージしますが、どうやらモンゴル人にとってはそれは一部の人、田舎のことのようでだいぶ都市化されているようです。少年が雁の卵を拾ってきて女性が戻しに行きます。空を飛ぶ雁に向かって、「この子は街育ちだから卵を取ったらどうなるかわからなかったの、許してやってね。」と叫びます。そして少年は、自分より弱いものに対してとった行動に大反省します。自然を見ているだけでも心が豊かになるけれども、女性の子どもに対する愛情、態度、何よりも声に惹かれます。

「天地明察」 2012

将軍に囲碁を教える名家に生まれた青年・安井算哲は出世に興味が無く、大好きな星の観測と算術の問題解きに夢中になっていた。将軍・徳川家綱の後見人である会津藩主・保科正之は、そんな算哲に興味を示す。折しも、800年にわたって使われていた中国の暦のズレが大きな問題になり始めていた。そこで保科は、新しい暦をつくるという大計画のリーダーに算哲を大抜擢する。

原作通り。暦作りといえば壮大な天文学。歩幅で資料作りの時代。はずれたら切腹。岡田准一主演。中井貴一が水戸光圀役。

「デンデラ」 2011

雪深い山あいの小さな村。貧しいこの村では、70歳になった者は掟に従って口減らしのため山奥に捨てられる運命(楢山節考です)。斎藤カユ(浅岡ルリ子)もお参り場という場所に置き去りにされてしまう。死を覚悟し、極楽浄土を信じ、命果てたつもりが、老婆たちによって助けられ、一命を取り留め、“デンデラ”と呼ばれる共同体に運ばれる。そして、デンデラを作り上げた草笛光子が、村への復讐に燃えていたのだが、熊の襲撃があり、それから熊との戦いのストーリーとなるのだが、なんで素手で熊に立ち向かうのか…。そのあたりで、「赤ずきん」と話が似たようになってきて。浅岡ルリ子がほおかむりすると、赤ずきんのずきんのようだし。浅岡ルリ子が素顔で出演ということで話題になり、映画館で観るつもりでしたが、公開も気付かず、いつのまにかDVDになっていました。映画館まで観にいかずよかったかも。山本陽子確認できず。それが心残り。おせっかいのおばばはだれだったのか。熊の作りがちょっと。

「転々」 2007 三木聡監督
80万借金…返済を迫られた男は、取立て男から、いっしょに付き合えば100万円払うという話を持ちかけられます。そして東京散歩の旅が始まります。男二人の珍道中。後半は擬似家族ごっこ。親父、タケオと呼び合い、未経験の遊園地(浅草花やしき)を体験したり、家族団らんしたり。やはり出所する前の最後の食事はカレーなのかな?
「天然コケッコー」 2007
島根の自然いっぱいの土地の中2の女の子が主役。小中学校には合わせて6生徒。そこへ都会から中2のイケメンがやってきて、淡い恋物語?といいたいけれど、完璧メインは美しい田舎の風景、音です。島根県浜田市にとってはいい町興し、もっと映画があたっていれば。中身ないし。

「天のしずく 辰巳芳子”いのちのスープ”」 2012 監督:河邑厚徳(かわむら あつのり)

ごくごく限られた映画館(あるいは俄か映画館)のみでの上映と思っていたら、神奈川は辰巳氏の地元のためか、川崎ラゾーナ109、横浜ムービル、南町田グランベリーモールと。ただし今週で終わりかもと急いで観に行く。1日1回上映なので、都合のよい時間帯にやっている川崎へ。

里芋畑、かわいらしい少女二人がガラスの小さな水受けをもって、葉っぱの上にたまった水を集めている。そして墨をすり、お習字。横2本、そして中央から上から下に…左に流れ、次の画像。

提唱の「大豆100粒運動」は300校に広がっている。日本での米、大豆を育てる大切さを話す。畑に米を直播し、その後そのまま水を張って水田に変え、稲を育てる。翌年は畑に戻し大豆を育てる。区画周りに管を埋め敷く設備で水田・畑の切り替えをする青森浪岡地区。玄米をじっくり炒め、昆布、梅干でスープ。あるいはポタージュ・ボン・ファンム。玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ、セロリ。料理の大事なポイントもこぼれる。鎌倉の庭。梅干作り。椿狂い咲き。311の話。「地震と津波だけならどうにかなった。」被災者に温かいものを届けようと遠野地区農家+スープ教室生徒の活動。医療関係者向けスープ講座。母の卵焼きは10個の卵をかき混ぜ、スクランブルし固めたもの。「おいしいでしょ。」と家族に出していた。父・母の最期。父の嚥下障害のための母娘で作り始めた。母は「10分でも私が後に死にたい。」「病床の父に、今では死の恐怖を取り除くのが私の役目。」と。スープ作り。ご自身の3週間の結婚生活。すぐ召集されるのを知りながら父に背き結婚の踏み切った辰巳さんの気概。70才でご主人の戦死のフィリピンセブ島を訪ね、見守ってくれていたと感じたお話。1通の手紙は、テレビでスープ作りを見たハンセン病元患者からのもの。10才で岡山県長島の愛生園に隔離され、生涯の親友が鼻の癌になりスープを作り喜ばれたという内容。手先の不自由な女性が一生懸命スープを作る。海を眺める女性を辰巳さんが声をかける。双方から感謝に溢れた会話が交わされる。そして女性の自宅で辰巳さんにスープが振舞われる。スープの偉大さ。

ラストシーン、自宅で助手と朝ごはんを食べようとするところで。かなりおいしそう。2時間近くの映画は見応えたっぷり、完成度比類なきほど完璧。彼女の生き方、料理をしっかり伝えるものでした。

帰宅後、著書を探す。「ポタージュ・ボン・ファンム」もありました!

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