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ゲノム編集食品とは?(2019/02/23 大田区立消費生活センター) 天笠啓祐氏

遺伝子組み換え作物からゲノム編集作物へ

GM作物失敗の20年(ヨーロッパの環境保護団体はそう言う)、栽培国は増えておらず20数カ国のまま

ジャガイモは消えた

現在流通している主な作物

大豆・トウモロコシ・ナタネ・綿

稲・小麦は消費者の抵抗が大きく、開発頓挫

  1. 新しく鮭という動物食品登場、遺伝子組み換え食品の範囲が広がる

2杯のスピードで成長する鮭「アクアドバンテージ」

米国のベンチャー企業アクアバウンティ・テクノロジーズ社が開発

同社は事実上モンサント社の傘下に(インテクソン社が買収)

その問題点:成長が早い分、環境中の有害物質の蓄積度が大きい、成長ホルモンの濃度が高い分、癌細胞を刺激する危険性がある。

・果物の遺伝子組み換えが進む

  • 遺伝子組み換えパパイア(ハワイ産レインボー)パパイヤ・リングスポット病耐性(RNA干渉)
  • 遺伝子組み換えりんご カナダオカナガン社が開発、皮をむいた際に起きる変色をさせないように改造したもの(RNA干渉)
  • 遺伝子組み換えピンク・パイナップル デルモンテ(米国)が開発、リコピン増量
  • 遺伝子組み換えバナナ ベータカロチン増量バナナ/パナマ病(土壌萎縮病原菌)耐性バナナ オーストラリア・クイーンズランド工科大学等で開発

・国産で初めての遺伝子組み換え食品 ミラクリンさん生トマト(筑波大学)、ミラクルフルーツ(酸味を甘味じ変える)

 

遺伝子の働きを壊す食品が登場

  • 遺伝子組み換えとは? ほかの生物の遺伝子を入れる技術 EX)ほうれん草の遺伝子を入れた豚、ヒラメの遺伝子を入れたトマト、クラゲの遺伝子を入れた猫
  • ゲノム編集とは? 特定の遺伝子を壊す技術、遺伝子の組み換えもカノウ
  • RNAi(干渉法)とは? 特定の遺伝子の働きを阻害する技術
  1. ゲノム編集(Genome Editing)とは?
  • ;目的とした遺伝子をピンポイントで停める技術 目的とする遺伝子の一に誘導する技術とDNAを切断する制限酵素の組み合わせ
  • CRISPR/Cas9の開発で容易に CRSPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)法(2012年)
  • 制限酵素を用いてDNAを切断して、遺伝子の働きを止める(ノックアウト) 制限酵素とはDNAを切断するハサミの技術を持つ酵素
    自然修復した際に元に戻ると再び切断、突然変異が起きるまで切断する 
    遺伝子の働きを止めることで何ができるか、例)ミオスタチン遺伝子(筋肉量を制御)
    生命体はバランスで成り立っている、そのバランスを崩す
    切断後、修復までの過程で遺伝子の導入も可能(ノックイン)
    修復の際に、その部分に遺伝子を挿入することもできる
    新たな遺伝子組み換え技術、ピンポイントで遺伝子組み換えができる
  1. CRISPR/Cas9とは?

細胞の防御システムに目をつけた

  • 侵入したウイルスのDNAをCRISPR内に取り込み
  • Cas9酵素で切断して無効にする
  • CRISPR/Cas9の仕組み

どのように導入するのか?

  • 動物・人間 受精卵に直接導入する(マイクロマニピュレーター)方法がよく用いられる
  • 植物(細胞壁があるため)従来の遺伝子組み換え技術を用いる、アグロバクテリウム法・バーティクルガン法
  1. ゲノム編集技術による作物の開発(すでにはじまっている)
  • 除草剤耐性ナタネ、大豆が市場化
    スルホニルウレア(SU)系除草剤耐性(米ベンチャー・サイアス社、カーギル)
    高オレイン酸大豆(米ベンチャー・ケイリクスト社)
  • 小麦での開発が活発
    高食物繊維小麦、うどん粉病抵抗性小麦(ケイリクスト社)
    高収量小麦(デュポン)

  • アルカロイド(ソラニンなど)を含まないジャガイモ(理化学研究所)
  • トランス脂肪酸を含まない大豆(ケイリクスト社)
  • 変色しないマッシュルーム(ペンシルベニア大学)
    ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子を壊す
  • 日本では「シンク能改変稲」が開発され栽培実験が始まる
    2017年からはじまり5カ年計画

  • ゲノム編集樹木の開発(米国・中国・スウェーデン)
    スウェーデンではポプラ(開花・成長・枝や葉や根の生産)を開発野外実験へ
  • バイオ燃料の開発
    中央大学理工学部・原山重明
    緑藻はエネルギーをでんぷんと油脂にに蓄える
    デンプンに蓄える仕組みを壊す
    オイル産生酵母 イアン・ウイールドンらの研究チーム(カリフォルニア大学リバーサイド校)
  1. 多様な動物の開発
  • 呼吸器障害症候群ウイルス(PRRSV)耐性ブタ
    ミズーリ大学の研究者(ランダル・プレイザーらの研究チーム)が開発
    ウイルスの侵入口にあたるタンパク質(受容体CD163遺伝子を破壊)を欠いたブタ
  • マイクロブタ
    通常のブタ100kg超、ミニブタ30〜50kg前後、マイクロブタ15kg前後
    中国BGI(北京ゲノム研究所)がペット用に開発(TALEN法)
    成長ホルモン受容体を壊す
  • 巨大動物・巨大魚
    筋肉量を制御するタンパク質「ミオスタチン」遺伝子を操作
    筋肉量の多い牛
    テキサスA&M大学(チャールス・ロング)
  • その他、成長が早く肉の多いフグ、角のない乳牛、卵アレルギーをひい起こさない鶏など
  1. 特許権紛争と遺伝子ドライブ
  • 特許紛争が激化
    デュポン社 カリブー・バイオサイエンス社と提携、ビリニュス大学のCas9特許の独占的権利
    モンサント社 ブロード研究所と提携、ブロード研究所の特許権が認められる
    CRISPR/Cas9の関連特許は2014年までに300を越える
  • 巨大多国籍企業同士の買収・合併が相次ぐ
    排臭・合併後のシェア           種子    農業
    バイエル、モンサント連合         29%   26%
    デュポン、ダウ・ケミカル連合       24%   16%
    中国化工集団公司、シンジェンタ連合  8%    20%
    (2013年、ETCグループより)
  • 遺伝子ドライブ技術は種の絶滅をもたらし、生態系を破壊する
    遺伝子ドライブ(Gene Drive)とは?
    CRISPR?Cas9遺伝子をノックイン 雄と雌が交雑、対立遺伝子を変える、次々と雌の機能が壊されていく
    わすかな改造蚊で酒の絶滅を可能にする
    2018年エジプトで開催されたCOP14で遺伝子ドライブが焦点に予防原則が適用される
    軍事技術への応用
    軍事技術への応用
    米国国防総省のDAPRA(国防高等研究計画局)が資金を提供
    西オーストラリア州の6つの島と米国の太平洋の2つの島嶼部
    遺伝子ドライブ技術を用いた動物の放出実験
  • RNA干渉法(RNAi)の応用食品
    RNA干渉法とは?
    容易にできるノックアウト技術
    コレまでのRNA干渉利用(DNA操作による)
    日持ちトマト、耐病性パパイヤ、変色しないりんご
    RNA干渉利用()操作の登場
    dsRNA(二本鎖RNA)を用いて遺伝子の発現を停める技術

  • J.R.シンプロット社が開発したジャガイモ(マクドナルドへ?)
    加熱した際に生じる発がん物質アクリルアミドを低減+打撲黒班低減
    二本では食品安全委員会が食品として流通を商人
    加工用ジャガイモとして輸入
    米国・カナダでは第2世代ジャガイモが承認される
    アクリルアミド低減+葉枯れ耐性+打撲黒班低減
  • RNA散布農薬の開発も進む
    外注の遺伝子を破壊し殺す
    人間への影響も?
  • RNA干渉法とゲノム編集の違い
    遺伝子の働きを止めるのは共通
    ゲノム編集は遺伝子を壊す、RNA干渉法は遺伝子の働きを妨げる
    RNAiのほうが技術的に容易、精度は粗い
    しかしDNAと異なりRNAの働く仕組みはほとんどわかっていない
    RNAの拡散により植物も枯死や劣化などの問題を引き起こす
    肝臓でdsRNAの断片見つかり、食の安全で問題に
  1. ゲノム操作にはどのような問題点があるのか?
  • 遺伝子を壊すことによる問題点
    壊してよい遺伝子などない、生命をもてあそぶ、複雑な生命ネットワークをかき乱す
    オフターゲット(さまざまな遺伝子を壊す)をもたらす
    米国コロンビア大学、多数のオフターゲットを指摘
    英国ウェルカム・サンガー研究所、予想以上のオフターゲットを指摘
    オランダ・デルフト大学、従来のオフターゲットを見るアルゴリズムの不備を指摘
    豪州アデレード大学など、オフターゲットがなかったという実験を再実験
  • 発がん性を増す スウェーデン・カロリンスカ研究所、ノヴァルティス
    効率を上げるほど、癌抑制遺伝子を抑制
  1. 規制は?
  • 日本での安全性評価に仕組み
    生物多様性への影響 カタルヘナ法(環境省、農水省)
    食品の安全性評価 食品安全基本法、食品衛生法(厚労省、食品安全委員会)
    資料の安全性評価 資料安全法、食品安全基本法(農水省、食品安全委員会)
  • 政府は規制を外す
    カタルヘナ法・食品衛生法による分類と規制はずし
    タイプ1(DNAを切断)
    タイプ2(切断と同時に少量のDNAを導入)
    タイプ3(切断と同時に遺伝子を導入)
  • 環境省はタイプ1を規制から外した
  • 厚労省はタイプ1,2を規制から外し、タイプ3も例外を認めた
    遺伝子組み換えに比べ規制対象外が拡大した
  1. では、どうすればよいのか?

遺伝子組み換え、ゲノム編集食品を避けるには

 

  • 現在流通している作物は4種類(トウモロコシ、大豆、ナタネ、綿)
    それ以外の作物から作られている食品
    EX)米湯、ごま油、紅花油
  • 国内で栽培された作物由来の食品(日本国内では栽培されていない)
    できたら素材から調理する、加工されるとわからなくなる
    できるだけ外食を控える
  • 外国産の場合は有機食品を選ぶ
    有機は遺伝子組み換え、ゲノム編集を排除
  • 遺伝子操作食品を扱っていない、あるいはできるだけ排除している生協、産直